前回(Part 2)の内容をざっくりまとめると
- AIとの対話で感じる違和感の正体は「人間が勝手に意味や意図を読み取ってしまう生存本能」にあった
- ということはわかったけど、わかっただけじゃどうしようもないじゃん
という話でした。
AI相手ならそのうち慣れるでしょうが、人間相手ではそうもいきません。
「わかっていても勝手に意味を作り出してしまう脳」と、どう付き合えば少しだけ生きやすくなるのか?
実生活寄りの対策についてまとめてみます。
この機能にスイッチはない
前提として、意味を読み取るのをやめるのは無理っぽいです。
大昔からずっと受け継がれきた機能なので「深読みしない人になろう」とか「鈍感になろう」と努力するのは、まばたきを我慢するようなもので難しいです。
目指すべきゴールは「意味を感じなくすること」ではなく、意味は勝手に湧いてくるものだと割り切り「それに巻き込まれない位置が取れるようになること」です。
対策①:「事実」と「解釈」の仕分け作業
いまのところ、心理学的に最も即効性があると言われている方法です。
何かに心がざわついたとき、「実際に起きたこと」と「自分の解釈」を分けます。
例えば、誰かからのLINEの返信が短かったとき。
- 【事実】 文字数が少ない。「了解」の2文字だけ。
- 【解釈】 冷たい。怒っているのかもしれない。
この【解釈】の部分は、脳が勝手に予測変換しているだけです。
湧いてくること自体は止められませんが、「あ、これは事実じゃなくて、私の脳が作った【解釈】の方だな」と認識するだけで、【事実】と【解釈】が分離して、ちょっと冷静になれます。
対策②:「仮」の箱に入れる
苦しくなるのは、自分で作り出した悪い意味を「絶対そうだ」と確定させてしまうからです。
「あの人は私を嫌っているに違いない」としてしまうと、世界はそのようにしか見えなくなります。
そこで、湧いてきた意味を「仮のストーリー」として扱います。
- 「嫌われているかもしれない(仮)」
- 「怒っているのかもしれない(仮)」
あくまで仮説なので、間違っていてもいいし、後で書き換えてもOK。「とりあえず『保留』」という感覚を持つだけで、実感は無くても心の消耗は軽くなります。
対策③:自分の「得意生成」を知る
必要以上に意味を読み取ってしまう、強い「きっかけ」となる出来事は、人によって様々です。 私の場合は、「言葉のニュアンス」や「意図」に対して過剰に反応する傾向があります。
ちょっとした言い回し、理解できない言動、人からの評価などなど……。
自分は、どこで「意味の自動生成しすぎ」になりやすいかを知っておくと
「おっと、これは『得意ゾーン』に入ったな。めっちゃ意味がでてくるわ」
と、一歩引いて自分を見ることができます。
自分の癖を自覚するだけでも「メタ認知(自分が考えていることを、もう一人の自分が上から観察すること)」になりやすくなって、暴走はかなり防げます。
対策④:「才能」の使いどころを分ける
「意味を読みすぎ」で起こるのは悪いことばかりではありません。 些細な変化に気づく、行間を読む、といった方向で発揮されれば、読書や映画鑑賞、創作や深い思考、人に寄り添う場面では有用です。
一方、日常の事務連絡、SNSのタイムライン、コントロールできない他人の言動といった、ダメージを受けそうな場では、勝手に出てくる意味から距離を取る。
ここは、出てきた意味に向き合っても意味がないと判断したら、対策①~③を意識して、その場から降りる練習をする。
とはいえ、いちいち場の状態から判断するのは面倒なので、いつでも「観察する」くらいのほうがいいかもしれません。
要は、自分の敏感さを、「自分を傷つけるため」には使わない、みたいな感じです。
対策⑤:レベルを上げて物理で殴る
最後はやっぱり「物理」です。
疲れていると、ロクな意味を生成しません。
脳や身体が疲弊しているときは防衛本能が強まるため、どうしても「悪い意味」「悲観的な解釈」を優先的に拾いやすくなります。
なんだかすべてが悪い方向に思えるときは、思考で解決しようとせず、とりあえず寝る。何か食べる。 哲学よりも、睡眠とタンパク質の方が即効性がある場合が多いです。
まとめ:理由はわかったけど意味はわからなかった
AIの「言葉の不気味の谷」のような現象への違和感から始まった一連の思考。
最初の疑問は解決できたけど、「どうすれば生きやすくなるか?」は解決とまではいきませんでした。
よほどのことがない限り「意味を自動生成してしまう脳」とは一生付き合っていくしかなさそうです。
湧いてくる意味や不安を消そうとしても無理っぽいので、「なんか変な意味がいっぱいでてくるなー」くらいの距離感で眺める。
まぁ、あまり深刻に考えず、不気味さも違和感も自分の感性が正常に働いている証拠だと思えば、少しは面白がれるかもしれません。
⇦前回
不気味の谷のエーアイ【意味を自動生成する生命体「人間」2】AIとの会話の違和感から始まった「意味の自動生成」シリーズ第2回。「言語版不気味の谷」や意味がかってに湧いてくる理由について。OneOffObject⇦⇦前々回
最近、AIが意味深なので内偵調査してみた【意味を自動生成する生命体「人間」1】AIに話を打ち切られている気がしたので調べてみたら、ただの仕様でした。意味を作っていたのは人間側だった、という話。OneOffObject⇩この記事のショート(note)版
やめられないとまらない — 無駄な「深読み」で疲れないための5つの対策【意味を自動生成する生命体「人間」3】|OneOffObjectこのシリーズの前回(Part 2)、前々回(Part 1)で、 最近AIの様子が変なんだけど、どういうこと? AIの言葉に違和感を覚えるのは、人間が勝手に意味や意図を読み取ってしまう生存本能によるものだった! ざっくりこんな話をしてきました。 何にでも勝手に意味を付けるのは人間のデフォルト機能だから、日常が心理バトルになるのは仕方ありません。 とはいえ、AIはまだしも、人間相手に深読みしまくるのはちょっとしんどいよね。 ということで今回は、「意味は勝手に湧く前提」でどうやっていくと楽かについて、ちょっと真面目に実務寄りにまとめます。 対策①:事実と意味を分けnote(ノート)DID YOU ENJOY THIS ARTICLE?
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